今回の記事は、フードコネクションのYouTubeチャンネル「個人店のミカタLAB」で公開している「飲食店のフランチャイズ成功への道!牛角が年間400店舗以上出店できた理由とは」の内容をまとめたものになります。
動画でご覧になりたいという方はこちらからご確認ください。
浅輪:
フードコネクションの浅輪です。
今回は、「フランチャイズ成功への道」と題してフランチャイズ本部構築の申し子である持知さんをご紹介します。
自己紹介・M&Aの売却事例
持知:
ブロス株式会社の持知 剛です。
2000年に株式会社ベンチャー・リンクに入社し立地診断室という部署に所属した後、FC支援部という本部機能をコンサルティングする部署に転籍して、株式会社レインズインターナショナルの牛角を担当しました。
その時に、年間で400店舗を出店し、フランチャイズにおける成功要因と失敗要因を実務で経験しました。
その後、ベンチャー・リンクはレインズインターナショナルと提携を終わらせましたが、私はレインズインターナショナルに転職をし、そこで実務を3年間経験しました。
直近の10年間は、株式会社マルキという業務用の食器や調理道具を扱う商社の代表となり、ベンダーとしてフランチャイズ本部に商品を供給していました。
フランチャイズのコンサル・フランチャイズ本部の中・ ベンダーとして食器を提供するという立ち位置を経験しました。
ベンダーとして食器を提供したことは、外からフランチャイズを見ると内部がどうなっているかをよく知るきっかけになりました。
飲食店のフランチャイズ成功への道① | 経営理念
浅輪:
持知さんは、フランチャイズの本部に在籍していただけでなく、いろいろな経験によって「フランチャイズの成功への道」というものを導き出しました。
今回は、年間400店舗を達成させた持知さんが「フランチャイズ成功への道」を6箇条にまとめていますので、それを一つ一つ深掘りしていきます。
一つ目は、「経営理念」です。
経営理念が全社員に浸透して、理念達成のために一丸となって邁進する執念があるかどうかがポイントです。
持知:
私が当時所属していたレインズインターナショナルの理念は「感動創造」でした。
理念が社員に浸透していない企業が多くありますが、レインズインターナショナルの社員で「感動創造」という理念を知らない人はいません。
会議のなかでも、それは感動する商品なのか、感動する行為・行動なのかということを毎日のように話していましたが、会社のなかでそういう会話がある、理念に邁進する組織であるというところが非常に重要です。
加盟店にもそれを伝え、賛同を得たうえで加盟してもらうことが重要になってくるので、まだ理念のない方は理念を作り、加盟店を募集する際にはこういう会社だということを加盟店に伝えて賛同を得たほうがよいでしょう。
飲食店のフランチャイズ成功への道② | 覚悟
浅輪:
理念の浸透という意味では、私もレインズインターナショナルの加盟開発部で牛角フランチャイズの加盟開発をした経験がありますが、「感動想像」を知らない人はいませんでした。
実際に加盟開発するうえでは、お客様にまず理念を伝えるというところからスタートするほど、その点に共感できる間柄を構築することが大事です。
二つ目ですが、経営者が本気でフランチャイズ展開することに腹をくくれているかどうか がポイントになります。
持知:
フランチャイズは、第三者に資本・お金を提供していただいて出店するものです。
直営店ではないので、フランチャイズの加盟店に対してどのように伝えて指導していくのか、伝え方が非常に重要になります。
直営の社長が加盟店舗に行った時に、予想していないような状態で驚くこともありますが、それをあるべき姿、状態に変えていかなければならないことをきちんと加盟店に伝えるために直営店ではない、自分の部下ではないことを理解したうえで腹をくくって指導ができるかというところが大切です。
飲食店のフランチャイズ成功への道③ | マーケット
浅輪:
仕事をするうえで腹をくくらないと伝わらないということですね。
三つ目は、市場のマーケット規模は大きいのか、もしくは大きくなる可能性はあるのかということです。
持知:
焼肉の牛角を展開した当時は、市場規模が5700億でした。
その時の外食の市場は29兆円で、 外食市場が一番大きかった時です。
焼肉市場は5700億円という大きな市場で、そこにマーケットがありました。
マーケットがない、もしくは小さいところにフランチャイズ展開をしていくと、 なかなか立ち上がらないという難しさがあります。
ベンチャー・リンクが当時支援していた中古ゴルフクラブのゴルフパートナーは、展開当時はゴルフの中古を使う人がいるのかと疑問視される声もありましたが、今では多数の店舗があり、誰もが知る業態になりました。
立ち上がりに苦労し、当時ベンチャー・リンクのSVが店舗に入ってノウハウを構築してビジネスモデルを示し、 再度リリースした経緯があります。
その市場が大きい、もしくは市場が大きくなる可能性のあるフランチャイズを展開していくことが重要です。
飲食店のフランチャイズ成功への道④ | 差別化
浅輪:
ゴルフというマーケットの規模は大きいですが、中古のゴルフクラブを使うというマーケットはなかったところを開拓できる力、見据える視力が大事だということですね。
では、四つ目の今、展開している業態に明確な差別化要因はあるかどうかです。
持知:
よく牛角の差別化は何かと尋ねられることがありましたが当時、加盟店開発をしていた方々は、牛角は牛角という焼肉ビジネスを使った人財育成業 、人材の材の字を財産の財に変えた人財育成業であるということを標榜してお客様、加盟店様を募集していました。
牛角の人財育成のビジネスモデルは、社員1人以外はアルバイトで、牛角の場合はアルバイトさんをパートナーと呼びますが、パートナーさんをどう戦力化するかといったところに主眼が置かれました。
パートナーさんをどう戦力化するか、売上目標に対して必ずあるギャップにどう施策を講じるか、どういう経営戦略でいくか、その後どのようにPDCAサイクルを回し、その目標を達成するかという、いわゆる一連の企業活動を牛角の店舗の中で行いました。
パートナーさんを戦力化して、店舗経営に生かしていくことを標榜していました。
その人財育成で成功体験をした店舗を実際の自分の企業や本業に活かしてくださいということで牛角を販売していました。
成功したアルバイトさん、パートナーさんを称賛する場が今は、居酒屋甲子園と名称を変えましたが、元はレインズのパートナーズフォーラムでした。
5000人以上入る横浜パシフィコで開催されていて、今も続いています。
アルバイトさん、パートナーさんが壇上に上がって自分の成功体験を話す、その成功体験を持って社会に出ていく、そして加盟店企業は本業に活かすという、焼肉屋だけれども人材育成ができる業態ということで販売していました。
そこが大きな差別化でした。
フランチャイズの焼肉屋さんなので、パートナーさんにもできるようにお肉がカットされていたり営業しやすかったりしますが、本質は人材育成だということです。
浅輪:
自社で持っている業態力という差別化はもちろん大切ですが、社会に与える影響力、人材教育という部分も合わせて差別化を図っているというところを明確に言えるかどうか、それがきちんと仕組みになっているかどうかがポイントになるということですね。
飲食店のフランチャイズ成功への道⑤ | 直営店の利益率
浅輪:
五つ目になります。
展開しようとしている直営店は儲かっているかどうかです。
持知:
直営店に利益が出ているかは、非常に大切なポイントです。
仮に、ロイヤリティを5%と設定するのであれば、推定でもロイヤリティ込みで15%以上の利益は必要でしょう。
「成功しているパッケージを第三者に販売」=「ノウハウを販売」というのがフランチャイズの本質なので、利益が出ていないと売るのは難しく売ってはいけないと思います。
直営店も1店舗ではなくて3店舗以上、それを2年以上経営しているということが大事になります。
2年以上の理由は、季節指数です。
焼肉なら夏に売れるとか、売れる月と売れない月があるというのは必ず出てくるので、季節の動きを理解するうえでも2年以上の運営が必要だと考えます。
また、3店舗に関しても最終的にフランチャイズを標榜していくのであれば、さまざまな立地に出店していくことが必要だと思います。
新宿と渋谷と池袋の3店舗とそれ以外の場所で3店舗は全く違うので、知名度を上げるために主要駅で運営することはよいことですが、たとえば3年以内に30店舗作りたいのであれば、だいたい駅のランクで20位ぐらいの所にも直営店が出ていくことが必要になります。
直営の出店の順番も非常に大事になってきます。
持知:
ただ儲かっていればいいのではなくて加盟する方々の立場に立って、いろいろな場所・地域性・季節、そういったものを加味し、それを踏まえて儲かっているかなどの情報を提供していかなければならないということですね。
持知:
加盟店さんが撤退する理由の第一位は、立地選定のミスです。
出店した後は、当たり前ですが変更することができません。
本部としてもどういう立地だと収益が出るのかというノウハウを積み上げる必要があり、出店した後どのように収益を上げていくかというところで立地選定は非常に重要です。
本部ではどのような駅で利益が出やすいのか、ノウハウを積み上げていく必要があります。
飲食店のフランチャイズ成功への道⑥ | 運
浅輪:
そういうところでも持知さんの経歴にある立地のお仕事が活かされているということですね。
最後の六つ目は運です。
自分がコントロールできない要因についてです。
持知:
仮に、腹をくくってブランチャイズ展開をすることになった時に、5年以内に50店舗展開したいとか、そういう夢を持って始められると思います。
ただ、自分が努力しても何ともしがたい社会情勢というものがあります。
コロナもそうですね。
運は、どうしてもついてきます。
牛角を展開した時は、外部環境が非常によかったと思います。
展開当時は、個人店の他には客単価が低い大衆的な食べ放題店か、客単価が非常に高くて客層がよく年齢の高い方しか入れないような高級店しか焼肉屋はありませんでした。
牛角は客単価3000円で、20代、30代が少しよい雰囲気のなかで焼肉が食べられるという市場で、当時はなかったために広げることができました。
自分でコントロールできない運はどうしてもあるので、今後どのような社会情勢になっていくのか、日々ニュースや外食のニュースを見ながら検討していくことが必要なのではないかと思います。
フランチャイズを展開する際にはタイミングがあるので、フランチャイズの展開を決めたらタイミングをしっかりと計って行うのがよいと思います。
浅輪:
運は、僕たちの力では何ともできないところはありますが、外食を取り巻く環境やいろいろな情報を加味していつ出店するのか、それも運と考えればどういう人と一緒に構築するのか、フランチャイズ構築を考えるのに誰と組むのがよいのか、ということもとても大事だということですね。
その相手によって運さえも手に入れて、よい形にできるのではないかなと思いました。
持知:
フランチャイズ展開することを考えている皆様は、少なくとも今のご自身のお店に適正な利益が出ていると思います。
その利益が出ている要因を第三者と一緒に分析するとよいでしょう。
成功要因や強みは何か、どういうところに人が真似しにくいことがあるのかというところを明確にして、そこを伸ばしていくことが必要だと思います。
そういったノウハウを磨き込んで、積み上げていくことが大切です。
まとめ
浅輪:
本日は、年間で400店舗の出店を達成させフランチャイズを世に広めた、現在ブロス株式会社代表取締役の持知さんが導き出した「成功への道」六か条を紹介しました。
これからフランチャイズ展開したい、本部に入りたい方は、自分では見つけられていない魅力・価値を一緒に構築していくうえでも持知さんのような専門のフランチャイズ本部構築の会社さんに依頼することがよいと思います。
誰と行うのかということがとても大事だと思います。
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